扉を開けたその瞬間から始まるいろんなこと...

2015/05/23

森の健康診断


今日は、間伐ボランティアのメンバーにて 『森の健康診断』 を行いました。


森の健康診断とは、2005年に矢作川流域のデータ蓄積を目的とし、愛知県豊田市で始まった市民参加型の人工林調査です。
普段は滅多に立ち入らない森林にハイキング気分で出かけ、「楽しく少しためになる」 をキーワードに、調査を行うと共に森林の現状を知って頂くというもの。
市民参加型というだけあって、使用する道具は 100円ショップで揃う物を使用します。

今回、我々支援隊でも、森の健康診断に参加されていた方をリーダとし、一度実施してみようということになりました。
参加者は5名です。


わたしの友人達から良く聞かれる、間伐ボランティアが必要な理由...
森の健康診断の趣旨と重なりますので、一度整理してみます。


岡崎市の総森林面積は、市域の約6割。
そのうち、人工林比率は約6割を占めており、普段目にする森林のその殆どが人工林になると思います。

これら人工林は、一見すると緑豊かで健康な林に見えるのですが、一歩中に入てみると うっそうとして光が差し込まず、地面には殆ど植物が無く土がむき出している・・・といった 「間伐遅れ林」 が多く存在します。
このような林では、雨滴によって土が流れ出し、木の根がむき出しになって、防災林や水源林としての効果が低下するばかりか、土砂崩れの危険性も高まります。

自然に任せれば良いじゃん!って思うかもしれません。

確かに、今まで全く手の入っていない原生林はそうなのかもしれませんが、人の手が入った天然林や人工林が自然の力で今の状態を保持することは、ほぼ出来ないと考えたほうが良いそうです。
ちなみに、原生林は日本全土で極々僅かしかありません。

したがって、出来るだけ健康状態に近くなるよう、人の手で直してやる必要があります。

ただ・・・、森林の健康状態は、見た目ではどうしてもわかり難いため、簡単な道具を使用し、数値化することで、どのくらいの規模で対応を行わねばならないか計画を立てることが出来ます。
森の健康診断では、参加者に これらの現状を 「五感」 で感じて頂きながら実施していこうというものです。


さて、、、ここからは実際の作業です。


工程としては大きく分けて以下になります。

 1. 調査地の設定と土壌の調査
 2. 自然に生えた木と草の調査 (植栽木以外の調査)
 3. 植えた木の調査 (混み具合調査)


現地へ到着後、リーダから作業概要の説明を受け各自の役割分担を決めます。
役割を決めないと、作業が進みません・・・。

まずは、対象エリアの中から およそ20×20mの調査地を決めます。
このときに気をつけることは、対象エリア内で平均的な場所を選ぶこと。
林縁部などでは、植生の異なる木や、雑木等の割合が異なる可能性がありますので...
また、後ほど草木の植生調査を行いますので、選定範囲内を出来る限り歩かないこと。


設定した調査地の中から、測定の中心とする木(中心木)を決め、赤テープでマーキングします。
中心木は出来るだけ植生が良く、今後残して行きたい木(保存木)から選択。
太さは林の中で2~3番目の太さとします。

ここまで終わったら、調査地の名称を記載した札や紙、看板を持って、調査地全体の様子がわかる様な 「記録写真」 を撮影します。


その後、中心木を中心として、□5×5mの範囲を選定。
写真ではわかり難いですが、設定した範囲をヒモ等で囲み明確にします。


この範囲内で「植栽木以外の状態調査」として、以下の測定および調査を行います。
測定値の状態を知ると共に、その状態から調査地の性質を知ろうという調査です。

 ・ 人工林の種類
 ・ 斜面の向き と 斜面傾斜角
 ・ 落葉層、腐植層の状況確認
 ・ 草と低木の被覆率、種類数
 ・ 1.3m以上の樹木の被覆率、種類数

この写真は「草と低木の種類調査」の様子。
植物の種類に疎いわたしには何の植物かさっぱり解りません...
今回の調査地は 5㎡内に20種の植物がありましたが、健康な森林では50種を超えるところもあるそうです。
次回は植物に詳しい方を連れてこよう... と思った瞬間です。


次は、混み具合調査(植栽木の調査)。
他には 「林分調査」 とも言います。
ここでは、森林状態の健康状態を図る各測定をおこなっていきます。
間伐本数を決める上でも、重要な指針になります。

 ・ 枯損木、竹の有無確認
 ・ 中心木から半径5.65m内にある全植栽木の「胸高直径」測定
 ・ 中心木と平均直径木の樹高測定
 ・ 混み具合の計算 (林分形状比、Ha当たり本数、平均樹間距離、相対幹距)

これら測定は様々な器具を使用し測定を行っていきます。
概要としては、土木などの測量を簡単な道具で原始的にした感じですね。




ここまで完了したら、調査結果をまとめて報告を行います。

今回の測定値は、Haあたりの本数が1400本、平均木樹高が15mでしたので、相対幹距 17.8で混み合い状況は適正と判断しました。
中心木基準の計算では、相対幹距 16.7。

参加者全員が間伐メンバーでしたので、合わせて今後の間伐計画について検討を行い、山主さんへの報告を行いました。

数値上は良いのですが、対象地の立ち位置によって、状況が大きくばらついています。
また、鹿の被害が多いので、胸高直径が細いものおよび被害が大きいものを選んで間伐を行う計画となりました。


以上で、森の健康診断 活動報告が終わりです。


ここまで読んで頂けた方、、有難うございます。


自分達には関係ないじゃん・・・ 確かにそうかもしれない。
でも、これら人工林を含む山林の保水機能によって、生活に必要な水源が保たれていることを忘れてはいけません。

今回の調査を行う地では、空き缶をはじめとする様々な投棄ゴミが、本当に沢山ありました。
道路からみて谷側の地なので、投棄しやすいのかもしれません。
でも、そういう方は自分の家の中に投棄されたら激怒するんでしょうね・・・。


まだ見習いのわたしが言うのもなんですが・・・
ほんの少しだけ、興味を持って考えていただけると嬉しいです。


しげ

2 件のコメント:

水守森支援隊+ さんのコメント...

とても「見習いのわたし」がまとめたとは思えません。
人工林の間伐の重要性を知ってもらい、多くの方が参加出来る機会を作りましょう。
                                                      もりのどらちゃんより

さんのコメント...

もりのどらちゃん、、来てくれたんですね!
コメント有難うございます。
初めて山に入ったときの新鮮で気持ちの良い自然の「におい」が忘れられません。
まだまだ解らないことばかりですが、今後ともお願いしますね。