扉を開けたその瞬間から始まるいろんなこと...

2017/06/03

あさひ森の健康診断

6月に入りました。
今月で、もう一年の半分か~と思うと本当に一年が短く感じます。
みなさんは、如何でしょう?

さて、今日は豊田市旭地区で行われた「あさひ森の健康診断」に参加してきました。
リーダからの丁寧な説明
森の健康診断」って?
以前、少しだけ説明させて頂いたことがありますが、もともとは2005年に豊田市で始まった市民参加型の人工林調査活動。
調査というと堅苦しいのですが、ある意味ハイキング気分で山に入り、簡単な道具を使って、それでいて科学的なデータの蓄積をしてしまおうというもの。

何のデータ なの?というと、、、
主に人工林(スギ・ヒノキ)を対象に、決められたエリアに何本の木が育っているかを木の高さと共に調べ、それら木々が過密なのか適正なのかにより間引きの必要性を判断します。
また、そのエリアにはどんな草木が根付いているのか、枯木や竹の進入などがないかも合わせて確認し、森林としての状態がどうなのかをデータを根拠に判断します。
森林、山としての能力を発揮できる状態にあるのかを判断する、、すなわち健康診断ということですね。
なお、これらデータは各拠点分を蓄積することで、対処要否がわかるエリアマップが完成するということになります。

なんで必要なのか?ということになりますが、、
最近各地で頻発している集中豪雨での水害や土砂崩れなど、、、その原因の一部が森林が整備されていないことにあることはニュースで見て知っているのでは?
山の保水能力が落ちてきて水が一気に川などに流れ出てしまったり、日照不足で森林の地表に草木が育たず、雨粒が直接地面を洗ってしまったり、地表下の地層境部で一気に水が流れることによる地滑りが発生するなど、、、
そういった自然災害を防ぐためには、まず現状を知る必要があるのですが、実は自治体に調査データは無いんですね。
だから、定期的な市民活動として収集しようというわけです。

現在の「森の健康診断」は矢作川水系森林ボランティア協議会(矢森協)が立案し、約10年間豊田市での活動が行われてきました。
豊田市では設定した測定ポイントのデータ蓄積が終わり、2014年にその活動を完了。
その後を引き継いだのが、今回参加した「あさひ地区」。
2015年からの三ヵ年計画で、今年が最後の年になります。
次の実施地は・・・ 「岡崎額田地区」なんですよ!

・・・前書きが長くなりました。
当日レポへ行きましょう。

集合場所は、笹戸カントリークラブ近くの「敷島会館(農村環境改善センター)」。
朝9:30までに必着ということで、張り切った結果・・・ 8:30頃に到着・・・。
だれも来てないかなぁ・・・と思いつつ向ってみると、うぉっ!すっごい人!
みなさん、到着が早いね・・・
山に入る服装に着替え(といっても今回は虫対策の軽装)、受付で参加費の500円を支払ったあとで、配られたチーム表を元に集まっている場所へ。
開会式のお話によれば、今回の健康診断に参加されたのは約130名。
東京大学からも30名の参加があり、全部で17班が28箇所の調査を行います。

集合写真の後は、各チームで現地へ。
東大生の二人は、田んぼや畑を見て感動してました。
もちろん、山に入るのも初めてだそうです。
さっそく、草花の説明です。目の前の木の白い花見えます?
一つ目の測定地へ到着後、簡単な現場説明と役割分担が行われます。
まずは「記録係」と「朗読係」・・・ワタクシは朗読係りに。

それぞれ測定地の印象(どの位込んでいるのか、どんな状態なのか等)を一人ずつ述べたら調査地の設定へ。
測定地の中で2~3番目に太い木を "中心木" として選びます。
ここでは、みんなで「あれでは?」「いや、アッチのが・・」などといって相談しながら決めました。
中心木に識別テープを胸高位置に巻いた後、測定ポイント名が記載された標識を持って中心木の前で "記録写真"。
なるべく林の様子がわかるように
みんなは調査表を見ながらやることを確認
次は測定地の環境と植生調査です。
あらかじめ5m位置に印(輪)が作られた20mロープを、落ちている枝で四角形に張り、調査枠を決めます。
4点の輪に枝を通して張ることで5m四方の調査エリアを設定
"斜面の向き" を方位磁石で確認したら、調査枠の山側谷側それぞれに一人ずつ立ち、山側の人が谷側の人の目を傾斜計を通じて見ることで、調査地の"傾斜角"を測定します。

そしたら、測定枠内を落ち葉がどれだけ覆っているかを3段階判定。
全く無い・・ということは基本的に無いため、ほとんどは "まだら(被覆率~50%)" になると思います。
続いて、" 腐植層の厚さ" をスコップで掘って調査。
色が変わっている層までの深さを、ものさしで測るのですが、わかりにくいのでペンライトが役立ちました。
掘った穴をペンライトで照らして確認
メンバーに状態を説明
枠内が草木(植栽木以外)が覆っている量 "被膜率" を確認したら、次は種類数の調査へ。
何をするかというと、調査枠の下に並んだ4人で見つけれるだけの種の草木の葉っぱを採集すると言うもの。
それを一部に集め、植物が何種類あるかを仕分けます。
どんどん見つかる種類
ワタクシには同じようにしか見えない草木でも、自然観察サポータのお目に掛かると、すぐに種類が分けられていく・・・スゴイ・・・
全然無いと思っていた測定値でも、20種近くの草木が見つかりました。
自分にはサッパリわからない・・・
次はいよいよメインの混み具合調査。
簡単な道具に置き換わっていますが、間伐地の「林分調査」と同じ内容となります。

まずは調査エリアを、、、中心木から5.65m内に入る木を囲みます。
なぜ5.65mなのか・・・それは、面積が100㎡になるからです。
竿で距離を確認しながらどの木までが対象か確認
囲んだ円内の木の直径を測定し、平均直径を計算すると共に、本数の確認を行います。
そして、求められた平均直径と同等の直径を持つ木を、平均直径木として設定します。

次は樹高の測定。
間伐前提の林分調査では、実際に抜倒して長さを測定することが多いのですが、健康診断で木を倒しては・・・ということで目測による測定を行います。
尺蔵を使った測定方法
全国で一般的なのは、スチール巻尺等を用いて測定する方法。
一応、この方法も行うのですが、豊田地区では「尺蔵」を用いて測定します。
測定値を確認
測定する内容はコレで終わり。
あとは、取得したデータを計算して林分形状比(樹高と直径の妥当性確認)や、相対幹比(混み具合数値)を割り出します。

今回調査を行った2箇所では、手が全く入っていない1箇所目が7割近くの間伐を必要とする超過密状態、2箇所目は1年前の間伐完了林であったため、若干過密でしたがほぼ適正な状態でした。

参加者の皆さんは、間伐実施前後が実際に比較できてわかり易かったとのこと。
やはり、頭で考えるのと実際に見てみるのは、大きな違いがあります。
あと、草木の種類を意識し、時には触れたり食したりすることで、単なる雑草から自然の個体物としての認識、、つまり興味が沸いたようです。

森の健康診断は「水守森支援隊」でも一度実施して見たことがありました。
その際にはどんな感じの説明を行い、如何に参加者が楽しんで参加するのか?というのが疑問でした。
なぜなら、そのときは間伐メンバーで実施したため、林分調査がメインだったから。
今回参加してみて、何となくわかった気がします。

今日は、森の健康診断だけでなく、色々と貴重な体験が出来た一日でした。
他地区で間伐活動をされている方にお会いし話したこともその一つ。
場所は違えど、同じ活動をされていることが、なんだか嬉しくて・・・。
豊田のみならず、なにかしらの交流が出来ればなぁ・・・と感じました。


来年は、岡崎で実施するとのことで何らかの形で携わって行きたいと思います。
みなさん、アリガトウございました。

しげ

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