扉を開けたその瞬間から始まるいろんなこと...

2023/05/27

とよた森林学校 ~ 地域の森・健康診断① 押井町の森健2023 ~

台風二号が早くも日本列島に近づきつつありますね。
進路によっては来週が「Typhoon Week」になるかも…
今日は朝からとっても気持ち良い天気!
とよた森林学校のイベントである「地域の森・健康診断」に参加ですっ!
押井町の地域森健は、昨年に続き2回目。
通常の森の健康診断とは違い、調査地の簡易的な林分調査と植生調査を行いつつ、地域の森林について考えようという趣旨のイベント。
山村地区に住まわれている方々が直面している課題、人工林・自然林の理想と現実…
街中での生活では考えることがないであろうこれらの課題を、実際に目で見て話しを聞いて、まずは知るところから…

オープニングでは、地元の辰吉さんから現状の説明と切実な想いを聴くと共に、北岡先生から植生遷移の観点からみる森林の現状について講義。
その相反する2テーマを蔵治先生が全体像を示すことでギュッとつながる素晴らしいお話だった。

その後は各班にわかれて、それぞれの調査地点での観察へ…
健全林と不健全林の2か所を調査するのだけど、我が班は健全林の調査から。
調査中の写真を忘れましたので結果だけ。
樹種:ヒノキ、本数:13本、平均直径(Db):24.6㎝、樹高(Hb):17m
林分形状比:69.1、平均樹間距離(A):2.77m、相対幹距(Sr):16.3
草・低木種:44種
テイカカズラ、コバノツツジ、ヒサカキ、トウゲシバ、シシガシラ、モミ、ヒノキ、シラカシ、コバノガマズミ、カキ、エゴノキ、チヂミザサ、スルガテンナンショウ(80%)、トウゴクシダ、ムラサキシキブ、ヤブムラサキ、サルトリバラ、ソヨゴ、ミヤマシキブ、ツタ、イヌツゲ、ナワシログミ、マユミ、モチツツジ、ウラゲエンコウカエデ、イロハカエデ、マダケ、ミヤマガマズミ、タラ、スイカズラ、モミジイチゴ、ミツバアケビ、カスミザクラ、ヘクソカズラ、ヤマウルシ、チゴユリ、コシアブラ、ヤブコウジ、アオツヅラ、フジ、イヌシデ、コナラ、シキミ、ミズキ

いつもながら植生鑑定ってすごい。
自分だったらおそらく片手も行かないくらいしかわからない…
ちなみに、この林は約10年前に間伐が行われている山。
若干過密側に入っているものの、林分形状比的には良い数字で、実際の林もほぼ良い樹間。
適正数にするには数本抜けば良いんだけど、10年後を考えると3割伐を行っておくと丁度良い。
こんなことを話しながら調査を完了。

お次は天然林の視察…すぐ裏の山側にて。
ここはモミ、コナラの大径木があり、すでに樹齢を迎えた大木達も横たわっている。
地元の武夫さんにも色々とお話を伺いながら、昔の山村の様子を想いうかべる…
北岡先生がとよたで1番と驚かれた、推測樹齢150年のモミの大径木もあり、メンバーで幹に抱きついたり…両手を広げて抱き着いても4人では足らないほどの太さ。
樹高もすっごいあるんだけど、枝葉ははるか上層で元気に茂ってた。
でも、あと50年もたたないうちに樹齢を迎えるだろうって。
谷側には田畑であっただろう場所に植えたヒノキ林が広がってて、昔はここで焚物としての材を取ってたんだろうって…そんな姿を見てきたモミの大径木に歴史ロマンを感じてしまう。
この周りにはモミの幼木も沢山あって、倒木で開けた空からスポットライトみたいに光が差し込む場所では元気に育ってた。
ホントに植生遷移をとっても感じる山。
あと、珍しい植物も…
ワタクシにはよくわからないんだけど「ホクリクムヨウラン」って花。
常緑広葉樹林の下に生える草花で、葉緑素を持たない菌従属栄養植物なんだって。
つまり光合成で育っているんではなくて菌根菌によって育つ草木。
絶対に自分では気づかない…。知らないことばかりでオモシロいっ!
その後も自然林を観察しながら、武夫さんの話を聞きながら…
小さなころは、少し離れた小渡地区の映画館まで山を抜けて良く行ったよとか…
でも一番印象に残ったのは「山村地区の自分たちはあたりまえとなっている水や空気をはぐくむ森林、川を守っているんだ」と。
住まわれているこの地を誇りに、自分たちのできることは…と考えられているその言葉に心から感動っ!
お昼を挟んだ午後は、もう一つの調査地である不健全林へ。
この林は耕作放棄した田んぼに植えられたスギ・ヒノキ。
土地が肥えているから樹高がすっごい高い!
でも成長が追い付かずにヒョロヒョロ木になってる。
調査結果は…
樹種:スギ・ヒノキ、本数:15本、平均直径(Db):20.4㎝、樹高(Hb):22m
林分形状比:107.8、平均樹間距離(A):2.58m、相対幹距(Sr):11.7
草・低木種:24種
コナラ、チャノキ(茶)、テイカカズラ、ナンテン、チヂミザサ、イノデ、フジ、イヌワラビ、ドクダミ、ハエドクソウ、アオキ、シラカシ、オニドコロ、キヨズミワラビ、ヤワラシダ、フタリシズカ、オクマワラビ、リョウメンシダ、ハナイカダ、ミヤギノハギ、ミズヒキ、ヒメカンスゲ、ツタウルシ、クサイチゴ

先ほどの調査林と比べて20種も少ない。
日が入らないこと共に、田んぼだったために粘土質の土であることが原因みたい。
それにしてもヒョロっヒョロ!林分形状比で100を超えるって…
間伐したところでって状態なので、もし施工するなら皆伐に向けた伐採が選択肢かな。
北岡先生によると、田んぼ跡地の針葉樹林はメタボ林になるばかりか伸びすぎて曲がりやすいとのこと。確かに今まで見てきた田んぼ跡地のヒノキはひどいもんだったなぁ。
その後は時間がまだあったので、木楽会の現活動地の視察へ。
今の活動地と、アッキーさんの間伐済の林へ。
折角なので、いろいろと施工方法についてご意見を伺いましたよぉ。
気になってたことを含めて勉強になった!

そしたら会場に戻ってデータまとめと意見交換。
各班の代表者にて感想をいただくと共に、第二回の概要について熱のこもったお話も。
最後は辰吉さんが締めて、今回の調査および見学会を終了。
今年も、ほんとに色々なお話や意見を聞くことができて、知らなかった色んな事も聞けて、それでもって色んな刺激をいっぱいいただきました。
7月に予定されている第2回は、考えて意見を交わして提言をまとめようっていう会。
また学びが深い日になりそうだ。

とっても気持ちい良い一日で、みなさんと活動できて本当に楽しかった~っ!
次回もたのしみにしてま~す!
長い時間でしたがお疲れさまでした!そしてありがとうございましたぁ!

しげ

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